LABOLATORY 研究室(ゼミ)

KASDでは、二級建築士資格取得後、「研究室(ゼミ)」(定員制)に入ることができます。資格の学びで培った知識をもとに、関心あるテーマをゼミで追究でき、大学以上の深い知見が得られます。また、JR園部駅前の12号館には、一級建築士やインテリア関係の各種資格取得のための施設に加え、学生の能力を引き出す場であるゼミ室を設置しています。

PURPOSE 研究室の目的

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専門性をさらに高め企業が求める力を養う

研究室(ゼミ)では、高度な研究と設計に取り組み、4年次最後の卒業設計制作で成果を発表します。建築業界で発展的に活かされる感性やアイデア、プレゼンテーション能力や設計力を鍛え、企業が求める提案力や発信力へと繋げていきます。

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意匠系・デザイン系を中心に揃えられた研究室で高度な研究

研究室(ゼミ)では、1、2年次での建築・インテリアの基礎の学びをさらに発展させて学ぶことができます。またゼミ生同士での情報交換やゼミの担当教員による指導のもとで、さらに高度な研究が可能になります。

3

町家や歴史的建造物など京都ならではの研究も

世界的にも名高い古建築や町家など、千年の都としての文化を持つ京都でなければふれられない建築を学べることもKASDの研究室(ゼミ)の大きな魅力の一つです。

FLOW ゼミ活動の流れ

様々な切り口で、建築を考える

各ゼミでは、様々なテーマで、建築について考えます。さらに、教員からのアドバイスのもとで、4年間の集大成として、卒業制作に取り組みます。卒業制作に力を費やすことは、建築への洞察力を深めるだけでなく、社会人基礎力を鍛えることにもなります。

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3年次
10月
所属希望ゼミの申請
12月~2月
建築見学会
卒制の手伝い
4年次
4月
卒業制作検討を始める
10月
卒業制作スタート
2月
卒業制作発表会

その他にも、コンペや地域活性化・貢献活動、作品展示会などにも積極的に参加します。

LABORATORY 研究室紹介

川北 英 & 永田 優一朗 Design Studio

才能のない人なんていない。どんな人にも何かの才能は宿っている。しかし、それに気づかない人は多い。自分の才能を見つけ磨き、自分の感性・感覚を信じて努力すればいつかはオンリーワンとして輝ける世界が拓けると思う。建築は100人いれば100の答えがあるといわれる。自分の答えを見つけることこそ、建築デザインの基本ではないだろうか。自分の中に隠れていた才能が開花するときです。
川北 英
川北 英
  • 一級建築士
  • インテリアプランナー
  • 福祉住環境コーディネーター
  • 応急危険度判定士
  • AA建築設計工房主宰
  • 元㈱竹中工務店プリンシパルアーキテクト
  • 関西インテリアプランナー協会理事
ゼミ活動で経験する1年間は、みなさんが主体的に社会問題について考え、建築を通して課題に向き合い、その思いを表現する大切さを実践を通して学ぶ大切な時間です。社会に出る前に自分が専門家として、これからどう振る舞うべきかを一緒に考えていきましょう。建築に沢山触れ、思想を学び、表現する力を身につける。ここで自分の武器を手に入れてください。
永田 優一朗
永田 優一朗
  • 一級建築士
  • HANA architects&associates一級建築士
    事務所株式会社取締役/管理建築士

杏 義啓 建築設計研究室

ドローイング、模型、CG、CADなど、様々なものを使って自分の考えていることをどうやって他人に伝えるかを考えながら、社会に出てからのスキルを学びます。「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが釣り方を教えれば一生食べていける」。この言葉が好きです。答えを覚えるのではなく、答えの見つけ方を一緒に考えるようなゼミにしたいと思っています。
杏 義啓
杏 義啓
  • 一級建築士
  • 京都美術工芸大学特任講師

北岡 慎也 建築文化研究室

建築の本質を理解するために、歴史・文化・美術史・メディア論等を基本とし、総合的な設計や調査能力を学ぶゼミです。建築は環境に由来する技術体系であり、技術が芸術にまで昇華された文化といえます。ランドスケープから伝統・現代建築の表現までを考察し、さらにデザイン戦略までをも検討するプログラムを有しています。また、京都の町家・数寄屋現場見学なども積極的に行います。
北岡 慎也
北岡 慎也
  • 環境事業計画研究所主任研究員
  • 京都市京町家専門相談員
  • 奈良国立博物館日本庭園設計監理
  • 東本願寺名勝渉成園保存修理建築設計監理

長谷川 健吾 建築設計研究室

私のゼミでは1年を通して卒業制作を手掛けます。4年間の集大成を作るというよりは、これから社会で活動する上での自身のテーマを見つけてもらいたい。失敗してもいいんです。建築の仕事に就く前の、社会に向けてどうファイティングポーズをとるかを練習する場にしてほしいと考えています。
長谷川 健吾
長谷川 健吾
  • 一級建築士
  • インテリアプランナー
  • 長谷川健吾建築設計事務所代表

上島 均 建築設計研究室

歴史や文化などの地域性に合った建物のデザインや機能をはじめ、自分の視点を持つことなど、特に理論的な提案とそれをいかに形として表現するのか。理論ばかりでなく実践を踏まえ、常に『建築・人・社会』の良好な関係を考えていきます。学生たちには、人との出会いや経験を大切にしながら、常に社会の動きをつかみ、日本の未来を作る発想を作品に反映させてくれることを期待しています。
上島 均
上島 均
  • 一級建築士
  • アーキフィールド建築研究所主宰

小笠原 昌敏 建築設計研究室

ゼミ活動は、「場所や環境の意味をよく考えること」。街を歩き実地調査し、論文や設計案としてまとめる。「設計は空間言語による著述である」社会問題や私的な物語を自分なりに解釈し建築として構築する。「伝統から受け継ぐものを学ぶこと」町家など伝統的木造について学ぶことで現代的な木造の意匠や構法の理解を深める。以上の観点から設計課題・実測調査・輪読に取り組んでいる。
小笠原 昌敏
小笠原 昌敏
  • 一級建築士
  • 小笠原・林建築設計研究室主宰

内海 慎介 建築設計研究室

私のゼミでは、複数のコンペや卒業設計等に取り組むプロセスを重視します。仲間と切磋琢磨する刺激のなかで是非、デザインの面白さや醍醐味を実感して、社会に出ても永く持続できる自信を獲得してほしいのです。そのためにはメディアからの広く深い情報収集、古今の空間の実体験、そしてそれらの知識や体験や記憶を総動員して課題に対して説得力ある作品にまとめて表現する―をバランスよく実践することが大事です。私自身のキャリアを振り返り、そう確信します。
内海 慎介
内海 慎介
  • 一級建築士
  • 内海設計室(一級建築士事務所)
  • 元㈱竹中工務店
    プリンシパルアーキテクト

山田 和弘 建築デザイン研究室

荘厳な雰囲気で思わず息を呑むような建築、何となく居心地が良くてゆったりと癒しの時間を経験できる空間など、建築は、人の感覚や感性に訴えかけます。研究室では、自らの全身と自己感覚で、しっかりと建築と向き合い多角的に考察。建築が持つ力を探り出し、これからの社会に求められる建築デザインを一緒に考えていきます。コンペや建物見学・スケッチにも取り組みます。
山田 和弘
山田 和弘
  • 一級建築士
  • 木造住宅耐震診断士
  • wa+一級建築士事務所代表

FIELD WORK 学外学習

実際の建築にふれて、学びを深める

ゼミ教育の一環として、様々な建築を知るために、実際に現場に足を運ぶ機会も多々あります。名建築を間近で見て気づくことから、自身の学びをさらに深めるほか、ゼミ生同士の交友を深める機会とします。

建築さんぽ01

近代・現代建築見学会

設計に携わった学校長自らが案内し、設計プロセスを余すことなく伝授。

川北英学校長自らが大手総合建設会社で設計プロジェクトを指揮した滋賀県の「佐川美術館」や日本を代表する建築家であり、建築史家でもある藤森照信氏設計の「ラ コリーナ近江八幡」など、近畿を代表する近代建築や最先端の現代建築を訪れ、五感で建築を体感します。

建築さんぽ02

町家特別講義

地域文化への理解と継承

京都には現在40,000~45,000軒の町家が残っているといわれています。一方で、毎年500~800軒が取り残され、京らしさが失われつつあることも事実です。特別講義は、京都に存在する“京町家”を取り上げ、その特徴や町家の改修等の事例や手法を学ぼうとするものです。実際の町家を訪問して実測やスケッチを行います。京都の町家は、人々の暮らし、歴史、文化が凝縮されたかけがえのない財産です。この講義を通して、伝統と現代が融合する建築のあり方を模索することで、より豊かな都市空間を創造する力を養います。京都でしかできない、貴重な体験です。

TOPICS トピックス

学生の提案で制作、南丹市を走る
バス路線の旅BOOK【バス旅】

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ゼミ活動は学生の自主的な提案で進められていきます。外部コンペへの参加、建築見学会、講演会への参加など。地元南丹市と隣接するエリア一帯を取り上げた小冊子の制作も学生からの提案で実現。“バス旅”は昨年に発行された「駅旅」から進化し、より幅広いエリアを巡り、各バス停周辺の名所や飲食店を学生ならではの独自の視点で描かれたスケッチの挿絵と共に紹介しています。実際にバスに乗車し、現地での取材から編集作業まで全て学生のアイデアで進められました。建築の視点から見る公共交通の魅力に迫る貴重な体験は普段の授業では得られない街と街との繋がりを見つけることができました。

ナイモノツクロ プロジェクト

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何もないところには可能性がある。だから、園部町に足りないもの、必要とする場所、つまり“ナイモノ”を自分たちの手でつくろうと、プロジェクトはスタートしました。暑い時期も寒い時期も、園部駅で待ち時間を心地良く過ごしてほしいという思いから、いろいろな『ハコ』の空間を利用して販売所やお茶会の場ができるようにする、開放的なスペースを学生たちが提案。今後、このアイデアを基に、園部駅西口の園部文化観光協会のデザイン設計がなされる予定です。

かめおか

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建築スケッチの手法を駆使して、風景を描き、保津川下りなど亀岡市を代表する観光名所から知る人ぞ知る穴場的スポットなど、その魅力を紹介しています。スケッチを通じて描かれた亀岡の風景は、学生たちの視点から地域の魅力を再発見できる内容となっています。今回制作に携わった学生全員が京都府外から建築を学ぶために本校に入学した方々ばかりです。全国から集まった学生の視点で描かれて魅力がいっぱいです。普段の暮らしの中では気づけない亀岡の素敵な一冊です。

GRADUATION WORK 卒業設計制作

ゼミ活動の集大成、卒業設計制作

ゼミ教育の最終仕上げとして、卒業設計制作に取り組みます。テーマを決め、模型を制作し、卒業制作審査会でプレゼンテーションを行います。

オクシズの森水族自然館

JIA近畿支部主催2024卒業設計コンクール参加作品
卒業設計制作2023年度最優秀賞
「卒業制作2024」(近代建築社)掲載

伊奈 晏澄さん
杏 義啓 建築設計研究室/2024年3月卒業/静岡城北高校(静岡県)出身

CONCEPT

幼い頃から自然が大好きだった。森のツンとした木々の匂いや足で触れた川の水。川で魚、田んぼでかえるを捕まえたり、メダカが泳ぐ姿を眺めていた。小学校の池でキラキラと光る鯉やメダカの観察をした。ビオトープが教材だった。全ての景色が絵画のように鮮やかに見えた。いつからだろうか? 水辺で遊ばなくなったのは。子どもたちには自然と関わり、心を動かすような体験をしてほしい。木、森、魚、川、水を見て、触れ、遊び、作り、学ぶ。森の図書館でゆっくり本を読む。好奇心、判断力、思考力、積極性を養う場。自然教室としての役割を持つ森の水族館とする。眺めるだけの水族館ではない。子どもたちが能動・自然的に触れ合える環境水族館。

ハレとケ舳倉島の音風景

KASD卒業設計制作2023 優秀賞
日本建築学会近畿支部主催2024卒業設計コンクール入賞
「卒業制作2024」(近代建築社)掲載

橋本 叶生さん
杏 義啓 建築設計研究室/2024年3月卒業/輪島高校(石川県)出身

CONCEPT

本設計の目的はサウンドスケープ活動を通して、環境や生態系の保護へと繋げるきっかけの場を作ることだ。建築の他にも教育や医療、心理学や地域政策など隣接分野の多いサウンドスケープ。今回の計画する舳倉島音美術館に訪れ、音から環境を知覚したり、潜在意識に何か深く残ったものが別の分野でサウンドスケープ活動を始めるきっかけの場となり、異業種間の活動へと多くの交通を結んでいく。この循環からサウンドスケープ活動が広がり、都市化によって失われる音風景を守り、環境保護や生態系の保護へと繋がる。

くらしの記憶~時代を超えて住みつづけること~

JIA近畿支部主催2024卒業設計コンクール参加作品
卒業設計制作2022年度最優秀賞
「卒業制作2023」(近代建築社)掲載

奥野 楓子さん
川北 英 建築設計研究室/2023年3月卒業/鳥羽高校(京都府)出身

CONCEPT

過疎地域の人口は全国の8.2%を占めるに過ぎないが、市町村数では半数近く、面積では国土の約6割を占めている。過疎化が進む地域は全国にたくさんあり、それを防ぐために人びとは様々な形の街おこしを模索している。人を呼び込むために、街は姿形を変えていき、気が付けばそこには知らない景色が広がっている。因島三庄は、開発が少しずつ進む因島の中でも、昔と変わらぬ景色を残した街。しかしそれは、過疎化の進行が進んでいるということでもある。街に人が住み続けることができれば、街が衰退することはない。では、そのために街の姿が丸々変わる必要があるのか。自然を五感で感じられる懐かしい街の姿のまま、賑わいを取り戻し、それがずっと続くにはどうすればいいのか。

白砂青松虹の松原再生保全プロジェクト

JIA近畿支部主催2023卒業設計コンクール参加作品
卒業設計制作2022年度最優秀賞
「卒業制作2023」(近代建築社)掲載

水谷 萌さん
長谷川 健吾 建築設計研究室/2023年3月卒業/佐賀北高校(佐賀県)出身

CONCEPT

佐賀県・唐津湾沿いに、虹の弧のように連なる「虹の松原」がある。この場所は本来、白砂青松として親しまれていた。しかし現在、松葉や枝が落ち、広葉樹が生い茂る暗い森へとなっている。そこで空間により、現地で再生活動を行うボランティアの方々に寄り添う。プロジェクトは、白砂青松を目標に海側の範囲をエリア分けし、落葉除去等再生活動を経て1年毎に隣接エリアへ移築。敷地両端、虹の松原の出入口にあたる場所にはボランティア施設とビジターセンターを計画。これらは再生エリア内から得られた副産物により空間構成する。歴史ある虹の松原を守るため、この建築は環境という主役を保護鑑賞する額縁のようなものとして、再生保全活動と共に歩む。